なぜ、会議にはファシリテーションが必要なのか？

会議に参加して、「なんでこの人たちが呼ばれているのだろう？」と感じたことはありませんか？ そんな経験をしたことがあるなら、ファシリテーションの重要性をすでに感じているはずです。ファシリテーターがいないと、会議が混乱したり、目的が見えなくなったりすることがよくあります。ここでは、なぜ会議にファシリテーションが必要なのかを解説します。

場をデザインする：会議の目的と目標を明確にする

会議の場をうまくデザインすることは、会議を成功させるために欠かせません。会議に参加するメンバーが「何のために呼ばれているのか」や「会議の目的は何か」が不明確だと、結局時間の無駄になってしまいます。特に、上司や部下、ベンダー、クライアントなど、関係性が異なる人たちが集まる会議では、目的を事前に共有することが肝心です。

目的と目標の明確化が最初のステップです。目標は事前に決めることもできますが、案を出し合って会議中に決めるのも有効です。これにより、参加者が自分の役割や意見を明確に意識しやすくなります。

アジェンダを設定する重要性

会議の成功にはアジェンダが欠かせません。アジェンダがあると、会議の進行がスムーズになり、話が脱線するのを防ぎます。アジェンダには、会議で何を話し合うのか、どのくらいの時間をかけるのかが記載されているべきです。これにより、参加者全員が同じ目標に向かって進むことができます。

ファシリテーターの役割：問題を解決する

会議の進行中に、以下のような問題が発生することはよくあります：

• 話に割り込む人がいる
• 不利益になることを避けるため、意見を言わず黙り込む人がいる
• 自分の意見を押し付ける人がいる

これらは、会議の流れを乱し、円滑な進行を妨げる原因です。ここで、ファシリテーターの出番です。ファシリテーターは、全員が気持ちよく意見を述べられる環境を作り出し、会議がスムーズに進行するようにサポートします。

ファシリテーターができる具体的な対処法

• 割り込みが発生した場合：ファシリテーターが適切なタイミングで話を整理し、各参加者が発言できる機会を均等に持たせる。
• 意見を言わない人がいる場合：ファシリテーターが質問を投げかけ、発言しやすい状況を作る。
• 意見の押し付けがある場合：一人の意見が強すぎるときは、他のメンバーの意見も同じように重要であることを強調する。

メンバーの選定が成功のカギ

会議の成功には、適切なメンバーを選定することが大切です。会議の目的達成に必要な人だけを呼び、不要なメンバーを呼ばないことがポイントです。もし、会議に直接関係のない人が参加していると、その人の時間が無駄になってしまいますし、後から意見がひっくり返るような問題（ちゃぶ台返し）が起こる可能性もあります。

チェックインとアイスブレイクの重要性

会議の始まりには、緊張をほぐし、参加者がリラックスできる環境を作るためにチェックインやアイスブレイクが非常に有効です。アイスブレイクとしてチェックインを行うこともよくあります。

簡単な質問をすることで、場の雰囲気が和み、人となりがわかり参加者同士が話しやすくなります。これは、場をリラックスさせるだけでなく、その後の会話の流れもスムーズにします。

チェックインの方法

チェックインには、参加者がリラックスし、自分の状況を共有できるような質問を用いると効果的です。以下のような質問を使うと良いでしょう：

• 「今ハマっていることは？趣味は？」
• 「最近読んだ本や見た映画は？」

アイスブレイクの方法

アイスブレイクは、会議の硬い雰囲気を和らげるための活動です。例えば：

• 簡単なゲームや体操・ストレッチを行う
• 自己紹介をしながら、ちょっとしたエピソードを交える

案出しを促進する方法

会議では、アイデア出しの時間も大切です。ファシリテーターは、メンバーが積極的に意見を出しやすい環境を作り出す役割を担っています。例えば、まず個々に10分程度アイデアを考え、その後ペアで話し合い、最終的に全体に発表するというステップを踏むと、アイデアが整理され、自信を持って意見を述べやすくなります。

進行をサポートし、議論を軌道修正する

議論が脱線しそうなときや、他の切り口に注意が向かってしまった場合は、ファシリテーターがタイミング良く介入し、進行を軌道修正する必要があります。

例えば：

• 議論がかみ合わない場合：具体例を提示し、再び議題に集中させる。
• 議論が進まない場合：新しい切り口を提案し、進行を促す。
• 煮詰まっている場合：次のテーマに移行するか、議論をまとめるタイミングを示す。

アクティブリスニングとペーシングの技術

アクティブリスニングとは、積極的に相手の話を聞き、理解しようとする姿勢のことです。これは、相手に「あなたの意見をしっかり聞いていますよ」というメッセージを伝える方法であり、会議の場でも非常に重要です。

ペーシングとは、相手の話のペースに合わせて自分の反応を調整することを指します。話し手のペースに合わせて話すと、相手は「共感されている」と感じやすくなります。ただし、ペースを合わせすぎると逆に進行が遅れる可能性があるため、少しずつトーンダウンさせて調整することも重要です。

対立の解決方法

会議の中で、意見の対立が発生することはよくあります。このような場合、対立の背後にあるのは「考え方の枠組みの違い」です。ファシリテーターは、この枠組みの違いを理解し、双方が納得できる解決策を導き出すことが求められます。

コンセンサス法による意思決定

そろそろ結論を出すタイミングになったときには、コンセンサス法が理想的です。これは、全員が支持できる一つの案を作り出し、納得して進める方法です。多数決とは異なり、少数派の意見を排除せず、最善の案を導き出すことが目的です。

以下の表は、いくつかの意思決定方法を比較したものです：

意思決定方法	内容	決定スピード	責任の所在	情報・知恵の反映度	納得度・受容度
独断	リーダーが決定	速い	明確	反映されにくい	低い
協議決定	全員参加の議論で一任	管理可能	明確	ある程度反映	低い
コンセンサス	全員が支持できる案を作成	遅い	共同	反映される	高い
多数決	過半数(三分の二の支持)で決定	速い	不明確	反映されにくい	低い
全会一致	全員の意見が一致	遅い/決定不能の可能性	共同	反映される	高い

よくある質問

質問1：ファシリテーションを持ち回りにするのはどうなのかな？

答え：ファシリテーションを持ち回りにするのは良いアイデアです。これにより、全員が会議の進行を理解し、役割を分担できるようになります。ただし、初めてファシリテーションを行う人にはサポートが必要かもしれません。まずはチーム内など小さい会議で練習するとよいでしょう

質問2：ファシリテーターが自分の意見を言うのは問題？

答え：実際の業務では、ファシリテーターも意見を求められる場面があります。その場合、意見を述べつつも中立的な立場を維持することが大切です。自分の意見を述べる場合でも、他のメンバーの意見を促すことを忘れないようにしましょう。